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Vol.18「多摩川の生態系を守って生き物を大事にする心を育てる」


特定非営利活動法人おさかなポストの会


おさかな01.jpg外来種の放流で多摩川が「タマゾン川」に
総合環境コンサルタントで淡水魚類の専門家である山崎充哲氏は、1999年から多摩川全域に環境調査を広げた。そのときに外来種の増加が目立ち始めたことに気付く。下水道がほぼ完備され、1970年代の危機的状況を脱した多摩川だったが、下水処理水は温度が高く冬でも20℃を下回らない状況のなかで、熱帯魚が住みやすい環境になってしまったのも原因のひとつという。熱帯魚ブームで安易に求めた飼い主が、扱いきれなくなって川へ放流していくことから、熱帯魚や大型肉食魚が増え、別名「タマゾン川」とも揶揄していた、と山崎氏。外来種に在来種が駆逐されてしまう、と多摩川の生態系の乱れに危機を感じていた。2005年のある日、「親に金魚を川に捨てろと言われた」と泣く子どもに出会い、金魚を稲田にある生け簀で預かったのが始まり。家庭で飼えなくなった魚類を引き取って里親を探す「おさかなポストの会」として、多摩川の生態系を守る活動を始めた。

当初は年間800匹程度だったのが、今ではひと月に1000匹ほどが集まる。3.11の震災直後一週間は水槽の破損と計画停電への危惧で、一日2000匹もの熱帯魚やカメが生け簀に寄せられた。被災地から震災後5月頃まで、1000匹以上のカメの引き取り依頼があり、里親学校に協力を仰いだという。他の自治体や保健所、警察や企業からもカメなどの捕獲を依頼されるなど、多摩川流域を越える活動を展開している。

おさかな02.jpg里親学校で生き物を大事にする心を育てる
 捨てられた魚やカメの里親は、ネットなどを通じて募集するほか、学校が引き取るしくみを作った。学校に水槽を設置して、おさかなポストに捨てられた魚を生徒が飼育する「里親学校」だ。今では多摩区だけでなく、北海道から九州まで100以上の学校が里親学校として協力している。最初は校長先生に直に交渉していたが、今では子どもたちが「魚を預かりたい」と学校を口説いてくれるようになった。学校では水槽を前に、子どもたちのコミュニケーションが深まるなど、情操教育にも役立つ、と語る。生き物や生き物が育つ環境に、興味を持ってもらうこともねらいのひとつだ。子どもを育てて親を巻き込む、山崎氏が展開する多摩川を拠点とした多彩な活動に、親子で参加するようになって多摩川のファンが増えていく。それが結果として地域住民で多摩川を守る基盤を生む。活動に連続性を持たせることで、地域全体の活性化にもつながっている、と熱く語る。

学校以外にも企業や水族館などに、里親として協力を受けている。八景島シーパラダイスでは「捨てられたおさかなポストの魚たち」と名付け、華やかな見学コースの最後に専用の水槽を設けた。責任を持って最後まで飼育しよう、というメッセージに見学者からの反響は大きいとのこと。企業の受付や休憩所、ホテルのロビーなどにも水槽を設置し、おさかなポストに預けられた生き物の命を大切にしているという、企業のイメージアップにもつながり好評を得ている、と語る。
里親には、責任をもって飼育し自然に放さないことなど、厳しく条件を定めている。例えば遠くは八丈島にも里親は存在するが、外来種が繁殖可能な地域での飼育に危惧を感じ、絶対水槽から出さないことを固く取り決めるなど、山崎氏の、生態系を守ることへの配慮が根底に貫かれている。

おさかな03.jpgおさかなポストの課題と今後
おさかなポストは川崎河川漁業協同組合と協力して運営、生け簀の設置には行政から協力を得ているが、行政は環境調査など生態系の把握に関しての関心度は低い。多摩川という東京神奈川と2つの行政区にまたがる立ち位置もその影を落とす。
また水族館や企業への水槽設置には維持管理費用は有償になるが、学校関係は維持管理指導を無償で引き受けている。大変な労力と手間だが誰かがやらないと、と語る。また里親から飼育責任に対する意思確認として会費を徴収しているが、捨てる人からは外来種が捨てられる川に戻ってしまう、と費用をもらっていない。このように、活動の対価をどこで得るかで暗中模索しているとのこと。それでも企業のCSR活動への協力をはじめ、民間・行政・教育機関問わず、多彩な講座メニューを持って依頼があればどこへでも出かけます、と活力にあふれた口振りで応えてくれた。

また毎日のように多摩川に出て自主的に環境調査を行っているが、昨年の後半から定置網に外来種が捕獲されることが少なくなった。おさかなポストの存在が皆に知れ渡ってきたこととあわせて、震災後熱帯魚ブームが沈静化していることも原因のひとつと推測している。しかし全く捨てられなくなったわけではない。今後の活動は、と尋ねると、「廃止です。里親学校の子どもたちが大人になったら飼育放棄をする人がいなくなる。そしておさかなポストの存在が不要になればいいですね。」と即座に結んだ。10年後、20年後を見越した活動を展開している。



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