かわさきコンパクトフォーラム2011 イベントレポート

かわさきコンパクト・フォーラム報告

(2012年3月15日)

sIMG_6982.jpg 恒例のかわさきコンパクト・フォーラムを「世界と地域に貢献する、グッドビジネス〜かわさきコンパクト企業 と Rio+20〜」と題し、第4庁舎ホールにて行いました。

 1992年の国連環境開発会議(地球サミット)から20年後となる2012年6月に、リオ・デジャネイロ(ブラジル)で「国連持続可能な開発会議」(以下、Rio+20)が開催されます。持続可能な開発と貧困根絶を意味するグリーン経済が主要なテーマになり、企業活動がグッドビジネスであることが今より以上に強く意識される時代になることを見越し、グリーン経済を読み解くカギとして、かわさきコンパクト参加企業からの2事例と川崎市の取組の発表、そしてかわさきコンパクト委員会の末吉竹二郎委員による「Rio+20 が動かす世界の流れ」についての講演を行いました。

味の素株式会社「途上国でのソーシャルビジネスの取組」
CSR部専任部長 中尾洋三 氏

sIMG_7000.jpg1900年初頭の創業当初よりアメリカ、中国へ販路を広げ、今では130の販売国を持っている味の素株式会社は、グローバルな視点をもって事業を展開する中で、“食と健康そして、いのちのために”というグループ理念のもとに、世界的な社会課題を持続可能な事業をとおして貢献すべくソーシャルビジネスに取り組んできた。
世界共通のうま味成分であるグルタミン酸から成るうま味調味料「味の素」は、各国で受け入れられ、現地生産販売を前提に社会的インフラが未整備なところでも事業運営ができるビジネスモデルを作ってきた。その発展形として現在取り組んでいるのが資源循環型のアミノ酸生産である。地元の農産物であるサトウキビやキャッサバを発酵して製品を生産し、その副産物を畑に還元することで資源循環を実現する。化学肥料低減、CO2削減、産業廃棄物排出削減、加えて地元産業振興の持続可能な資源循環型ビジネスとなっている。
 食に関わる企業として途上国の乳幼児の栄養不足という課題解決を命題とし2009年よりガーナ栄養改善プロジェクトに取り組んでいる。プロジェクトでは、母乳期間が過ぎ離乳期の栄養不足が顕著になる6ヶ月から2歳児をターゲットに、伝統的離乳食の調理時、栄養サプリメントを加えることで栄養改善を図る。栄養サプリメントは、大豆や砂糖などをベースに欠乏しやすい微量栄養素や必須アミノ酸であるリジンを活用することが大きな特長となっている。本プロジェクトは、ガーナ大学、国際NGO、国際援助機関など様々な社会セクターとの協働が得られ、2011年4月にガーナ保健省と覚書を締結し公に認められたことにより更に大きく進展した。現在は現地食品企業と協働で現地生産ラインを整え、テスト販売を開始するところである。今後、栄養改善に大きく貢献していくビジネスモデルとして確立することを期待している。

JX日鉱日石エネルギー株式会社「自然エネルギーの取組-扇島風力発電所」
川崎製造所副所長 菊池俊人氏

sIMG_7019.jpg石油等のエネルギーは地球温暖化の原因とされているが、エネルギーは生活に不可欠なものであるため、より利便性が高く、供給安定性があり、できるだけCO2発生を抑えたエネルギーを供給していくことが求められている。そのニーズに応えるべく、当社は従来の石油や石油化学製品だけではなく、電力、天然ガス、石炭の供給、蓄電池、太陽光発電、燃料電池などを手掛け、石油精製販売事業会社から総合エネルギー企業へと大きく転換している。
 具体的には、植物由来でカーボンニュートラル(CO2排出ゼロ)であるバイオエタノールを混合したガソリンの供給、EV(電気自動車)のチャージステーションの設置、発電効率の高いコジェネレーションのひとつとして注目される家庭用燃料電池(エネファーム)の販売を手掛けている。またマンション向けの戸別太陽光発電システムを開発し、太陽光発電のマンションへの普及に取り組んでいる。
 当社の電気事業の中心は川崎であり、3つの発電所が立地している。川崎天然ガス発電所は、当社が51%出資している。天然ガス発電はCO2排出を抑えた発電方法を採用し、電力安定供給のために稼働を続けている。川崎バイオマス発電所は、当社事業所内に立地し、当社は電気の供給を受けている。バイオマス発電は建築廃材をチップ化し木質バイオマス燃料として利用するカーボンニュートラルな発電施設である。自然エネルギー利用推進のシンボルが2010年3月から営業運転開始している扇島風力発電所である。石油火力発電比2000トン/年のCO2削減を実現した。川崎の他にも、秋田県秋田市の土浜風力発電所、福島県いわき市の柿の沢水力発電所などがあり、北海道においても地熱発電の開発を進めている。今後ともCO2排出を削減するため、自然エネルギー利用を進めていく。

川崎市環境局地球環境推進室「環境先進都市“かわさき”の今」
担当課長 柴山 巌

sIMG_7045.jpg川崎市は人口143万人でCO2排出量は産業系が約8割を占めているが、2008年で1990年に比べ13.9%減少している。2010年から施行された地球温暖化対策条例やそれに基づく地球温暖化対策推進計画において2020年度までに25%の削減目標が策定し、カーボン・チャレンジ川崎エコ戦略(CCかわさき)を大きな柱として、企業や市民とともに全市をあげてCO2削減に取り組んでいる。
太陽エネルギーの利用量を2005年度比で2020年度には30倍という大きな目標を掲げたことで再生可能エネルギーの導入が促進されている。住宅用太陽光発電補助の拡充で一般家庭への導入促進、市内小中学校43校に太陽光パネル設置(かわさきスクールニューディール構想)、玄関口である川崎駅東口広場では太陽光パネルやLED照明など省エネルギー技術を導入して市内外にアピール、NPOや地元企業と協働して実現した「市民共同おひさまプロジェクト」など様々な形で太陽エネルギー利用が進んでいる。
さらに大きく脚光を浴びているのが、昨年営業を開始したメガソーラープラントである浮島太陽光発電所と扇島太陽光発電所である。PR施設である“かわさきエコ暮らし未来館”も同時開館し、環境学習館として一役買っている。
このように環境技術を駆使した市内全域に広がる施設をネットワークしてショーケース化し国内外に情報発信する試みがCCかわさきエネルギーパーク構想である。また臨海部では580万kWの発電能力を有し、一都三県の家庭消費電力の9割を賄うほどの電力供給基地でもある。
さらに、それらの特徴を生かして川崎駅周辺を分散補完型のスマートコミュニティーのモデルにする計画がある。他にも「CO2削減川崎モデル」、低CO2川崎ブランドを選定し、環境活動において優れた製品、技術を讃えて紹介するための表彰制度を設けている。一方国際環境技術展を開催し優れた環境技術を国内外に向けて広く発信する他、国連環境計画など関連機関との環境分野での交流や連携を深めるなど、これらの様々な取り組みを通して、環境先進都市といえばかわさき、川崎に来れば環境が分かる、といった都市ブランドを確立していくために今後も企業や市民と一体となって取り組みを進めていきたい。

講演「Rio+20 が動かす世界の流れ」末吉竹二郎 氏
(川崎市国際環境施策参与、国連環境計画金融イニシアティブ特別顧問)

sIMG_7051.jpg1992年地球サミットから20年経過、Rio+20開催
国際社会が地球規模の環境問題を捉えたのは、ストックホルムで国連人間環境会議が開かれた1972年、ストックホルム宣言採択により国境を越えて地球環境問題を解決する道筋を付け始め、国連環境計画(UNEP)が生まれた。
1992年リオで開催された170ヵ国余の首脳が集まる第一回地球サミットでは、生物多様性条約、気候変動枠組条約が合意された。温室効果ガスを出すことを制限する、人類にとって非常に大きな一歩だった。10年後のヨハネスブルグでの第2回地球サミットを経て、20年後の今年、リオに立ち返り、首脳レベルが集まると見込まれる国連持続可能な開発会議Rio+20が開催される。
その会議の狙いは、持続可能な開発に関して責任を持って実行しようという政治的コミットメントを確保し、今までのサミットで交わされた条約と現在までの取組成果のギャップを評価し今後へとつなげようというもの。会議のテーマは貧困撲滅の文脈におけるグリーン経済(環境配慮型経済)、持続可能な開発のための制度的枠組みづくりである。グリーン経済とは、環境保全と経済成長を両立させ、人類の福祉と社会の平衡を実現するもの。財政の支援と思い切った政策の転換が不可欠である。グリーン経済への移行で自然資本が欠かせない経済的資産となる。

この20年は失敗だった?
CO2排出量の増加はとどめを知らない。2010年アメリカで過去最高の18.8億トン増加を記録し、世界では334億トンが排出され、過去最高となった。2011年は前年比の3%増が見込まれる。IEA(世界エネルギー機関)が2011年11月に発表した「世界エネルギー予測2011」では、「2017年までに劇的なエネルギー政策の転換がなければ、危険な気候変動との戦いに勝つチャンスは永久に失われるであろう」と表現された。世界気象機関(WMO)によると昨夏は世界的にも観測史上10番目の暑い年であり、上位15位までの暑い年は1997年以降に集中している。日本では1971年〜2000年、1981年〜2010年のそれぞれの気温の平均値を比べると0.2〜0.5℃上昇している。北極海の海氷は2011年の夏、冬ともに過去最少面積となり温暖化の勢いは止まる気配がない。結果、生物多様性に多大な影響を及ぼし、絶滅危惧種が約1/3を占める状況(国際自然保護連合レッドデータより)で人類史上前例のない絶滅の局面を迎えているとも言われている。
経済活動から受ける恩恵よりも自然環境危機による損失のほうがはるかに影響は大きいとOECDやUNEPなどの国際機関も警鐘を鳴らしている。

グリーン経済がカギを握る
国内最大のIT・エレクトロニクスショーであるシーテックジャパン、ラスベガスで開催される米国家電トレードショーのCES2012、北米自動車ショー。それらの大規模のビジネスショーでグリーン経済への転換が見られた。環境に配慮した製品の展示が主役になったのだ。シーテックでは環境関連の展示割合が2010年の35%から2011年には60%に、エコとは無縁とみられていた米国でも、CESで蓄電池や省エネシステム、太陽電池などの展示が見られ、自動車ショーでは燃費の良さが売り物になり電気自動車やハイブリットカーが前面に押し出されるという主役交代が際立つ年となった。日本の企業物価指数では物価基準製品にハイブリット、太陽電池などが登場し、エコに配慮した商品が主役になってきたと実感できる。
世界の自然エネルギーの総発電能力は2010年で既に原発を越えているとも試算されていて、中でも風力発電の伸び率は高い。現在は大型洋上風力発電への投資が世界的に進み、特にヨーロッパ、英国、また原発中心のフランスでも風力発電巻き返しの機運が高まっている。太陽光パネルメーカーでは2005年は日本メーカーが上位5社中4社を占めていたが、2011年は上位10社に日本企業はゼロで、世界生産シェアの約半分を中国が占め日本は11%に落ちている。世界の流れは、再生可能エネルギー産業へその風向きを変えている。


世界的なグリーン経済を体現する動き

・ヤスニITT計画
エクアドルでは、ヤスニ国立公園内(アマゾン源流の原生林)に約80億ドル相当分の石油が眠っていることが分かったが、その開発で得られる収入の半分を国際社会が資金提供することにより、エクアドル政府が油田開発を放棄する計画である。開発の見込み収入の半分36億ドルを拠出してもらおうと国連開発計画(UNDP)との間に「ヤスニITT信託基金」を創設。現在は1億ドル余りが積み立てられている状況だが、13年間で36億達成すれば中止するという開発よりも自然保護を優先したユニークなイニシアティブだ。

・GEのEcomagination
GE(アメリカ)では、2005年からエコマジネーションの取り組みを始めた。世界中から優れたアイデアを募集するオープンイノベーション・プロジェクトである。経済か環境かの選択ではなくイノベーションの力で世界的な環境問題を解決し経済、環境ともに達成することを目指している。
その結果、売り上げは増加しCO2削減22%など数値としても効果があった。生き残っていく企業は時代の変化に敏感である。

・持続可能な魚を食べる〜エコな消費者がビジネスを変える
フカが絶滅の危機にさらされている。2009年の一年間で9000トンのフカが消費される香港では、ペニンシュラホテルがフカヒレスープの提供を中止した。シャングリラもそれに追随した。
欧州マクドナルドでは、フィレオフィッシュの魚は、MSC認証のついた魚を使用することを宣言した。MSCは海洋の自然環境や水産資源を守って獲られた水産物に与えられる認証エコラベルである。年間一億食の魚が持続可能な漁業によって供給される。

「地球温暖化が進行するスピードに、対策のスピードがついていけない状況で、今までの20年と同じことを繰り返していたらどんどん世界は悪くなる一方である。もっと危機感のもとに議論してほしい。環境先進都市である川崎市で日本をリードするような動きが広がっていけばいい」と最後に結んだ。

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