第1回かわさきコンパクトセミナー報告(2011年7月14日)

 川崎市が「国連グローバル・コンパクト」へ参加して今年で5周年。かわさきコンパクトは、その地域版として生まれました。
 今年度の最初のセミナーは、あらためて国連グローバル・コンパクトの動きに注目し、グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク事務局次長の華房氏をお迎えして、国連グローバル・コンパクトの動向、グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワークの活動について話題提供をしていただき、質疑応答を兼ねた意見交換会を開催しました。


国連グローバル・コンパクト(UNGC)とは
IMG_3261.jpg 20世紀後半、世界経済がグローバル化する中で、紛争や貧困が発生し格差の拡大が顕在化してきたことを背景として、世界経済フォーラム(通称、ダボス会議)で、アナン前国連事務総長が提唱し2000年に創設したのが、国連グローバル・コンパクト(以下UNGCと表記)である。
 UNGCは、人権・労働・環境・腐敗防止の4分野の10原則(*1)と国連の目標、特に「ミレニアム開発目標(*2)MDGs:Millennium Development Goals」を拠り所に、それに賛同する企業トップ自らが署名し責任ある創造的なリーダーシップを発揮することによって、持続可能な社会を実現するための世界的な枠組み作りに参加する自発的な取り組みである。コンパクトというのは盟約、つまり契約より緩やかだが確実な約束といった意味合いになる。

世界では現在(2011年6月時点)約9,000の企業・団体が参加しその数は年々増えている。約6,200企業、約2,200NGO他、約500の大学、49自治体など、多様な組織が参加し、互いにコラボレーションしながら、国連機関や政府とともに活動を進めている。日本の自治体では川崎市が唯一であり先進的な役割を果たしている。

組織体制と署名組織がやるべきこと
 構成は、国連事務総長のもと、グローバル・コンパクト・オフィスを本部に、各国のGCローカルネットワークや各国連機関が連携しながら活動を推進している。UNGCの署名企業は、①GC原則の実践状況と成果報告を、年一回本部へ提出すること(団体には奨励している)、②GC10原則とミレニアム開発目標を目指す活動を推進すること ③GC参加やGC原則を積極的にアピールすること の3つが求められている。これらを果たすことで、企業・団体は、より高いレベルの経営の実現、CSR実践の組織内への展開、国際社会への発信を推進していくこととなる。署名するには完璧でなければいけないということではなく、各組織の課題解決の方向性など、何かに従うことではなく自ら考え実行していくことが求められているのも特徴である。
 EU各国、米国、中南米、アジアからはインド、中国、韓国、日本などが主な参加国として挙げられ、約90カ国にGCローカル・ネットワーク(LN)が組織され、EU、アジアなど地域ごとの連携交流も行われている。

グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク(GC-JN)
IMG_3266.jpg グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワーク(以下GC-JNと表記)は、グローバル・コンパクトを日本国内に広め推進していく機動力として国連広報センター(UNIC)内に2003年に発足した。2008年に経営トップ主導型に移行して民間主体に切り替わり、国際的にもユニークな運営を行ってきた。日本で署名している企業や団体は163を数え(2011年6月末時点)、様々な業種の企業と自治体や大学などがGC-JNにて活動している。プラットホームの役割を果たし、経営トップが積極的に参画することによって、主体的なメッセージや主張を打ち出してリーダーシップを発揮し、持続可能な社会を実現していくことを目指している。

プラットホームの役割と学びの深化を促す分科会方式
 具体的な活動としては、2008年度には4つだった委員会・分科会が、2010年度には10部会・分科会に発展し、MDGsや、サプライチェーン、地球温暖化防止、生物多様性など課題ごとの分科会の他に、地域視点の関西分科会や、どの企業でも課題であるGC社内浸透研究分科会なども設けられ、1か月〜2か月に1回定期的に活動している。セミナーやシンポジウムは、年に7〜8回開催し、専門分野や関連知識を深めることに役立っている。このように、分科会、セミナーやシンポジウムを通して、最新動向や他社事例を共有し、自社・団体の課題解決に結びつけたり、人的ネットワークを広げたり、また2008年から、次世代経営リーダーによる育成プログラムを開始し、議論や対話を重ねることで、社会を創造する将来の経営リーダーの育成に寄与するなど、多くの機能を果たす場として活用されている。

かわさきコンパクトについて
IMG_3267.jpg 川崎市は、日本で初めてそして唯一のUNGC署名自治体であり、尚かつ、自治体独自のコンパクトを提唱していて世界的にもユニークな取り組みである。「市民コンパクト」と「ビジネス・コンパクト」の2つがあり、わかりやすい表現の宣言や原則で、参加しやすい形態であり、多様な組織間での対話やパートナーシップを推進していくなどUNGCと方向性を同じくする。
 具体的なコラボレーションや行動や事業に結びつけて、自社や団体だけではできないことをかわさきコンパクトの場で取り組めるようになることを期待する。先陣を切って自らモデルを作っている、価値ある仕組みを作っているという気概をもって、暮らしやすい街づくりの実現を目指すことを期待する。


【主な質疑応答】

Q:UNGCは企業の参加が多く企業が主体で動いているようだが、市民を巻き込んだ活動をしている例はあるのか。
A:EUはNGOの参加が多く、企業とNGOが対話をしながら進めている。アメリカ、アジアなどもNGOの参加は多い。日本ではNGOの署名はないが、GC-JNはNGOと連携した活動を実施している。今後さらなる連携の推進について考えていきたい。

Q:海外でUNGCに参加している自治体の特長ある動きがあれば教えてほしい。
A:テーマを明確にし、飲料水の水質改善、ヘルスケア、水やインフラ、ハウジングなど町の基盤を整えるなどプロジェクト的に取り組む例を聞いている。日本では、先を見据えたエネルギー政策、スマートグリッドなど川崎市からもっと広げていくことで達成できることがあるのでは。暮らしたい街のモデルとなることを目標にしてほしい。

Q:企業の社員に対してどのように浸透させているのか。例えば出向元の企業でどのようにしているのか参考にしたい。
A:分科会でGC社内浸透研究会があるように、社員への啓発は、どの企業も課題として捉えている。出向元企業でも同様な啓発活動をしているが、GCを、企業理念を下支えするものとして捉え、事業活動の中で活かせるように啓発している。CSR関連の課題についても一部可能なものは定量化を図り、数値目標を定めて推進するようにしている。GCの4分野10原則は、本業とつなげて、業務改革そのものとして日々の活動と結びつけると浸透しやすいようだ。部署の指導者がまず納得して部署内に広げることが第一なのではないか。

Q:かわさきコンパクトは川崎市の環境局が担当のため、所内でも環境関連部署が窓口になっているが、分野は労働・人権と広く、他部署が管轄であり、なかなか活動を進めにくい現状があるが、出向元の企業ではどのような推進体制か。
A:ホールディングス、各事業会社横断の連絡会議を定期的に開催しており、各事業会社にも各部署のメンバ-で構成される推進委員会を設けて、各々の部署、分野での浸透や活動が推進し易くなるように工夫している。
A:(環境局からの回答)市役所が縦割りになりがちなのは否めないが、今日の震災への対応などでは組織の壁を崩すような動きをせざるを得ないことが出てきており、変革の必要性は感じている。かわさきコンパクトも人権、労働、環境など多分野に亘るため横串をさした形で進める必要があると考えている。

 意見交換会では、GCやかわさきコンパクトが会社の行動理念と合致しているのがよく理解できたという企業担当者の話や、自分たちの活動をどのように結びつけていいのかといったNPOからの悩み、また、かわさき市民アカデミーとEM普及研究会から企業との協働事例が報告されました。
 他にも、かわさきコンパクトへ100くらいの企業が参加するようでなければ広がらないという感想、川崎市がGCに参加していることは世界的にもユニークな取り組みなので首長が変わっても継続するように、我々が後押ししていく必要を感じたという発言があり、会は活況を呈しました。


(*1)UNGCの4分野10原則 
GC-JNホームページ http://www.ungcjn.org/aboutgc/glo_01.html
(*2)ミレニアム開発目標 :2000年9月に採択され2015年までに達成を目指す。貧困、教育や人権などに関する8つの目標。
国連開発計画(UNDP)ホームページ http://www.undp.or.jp/aboutundp/mdg/

その他、国連グローバル・コンパクトの詳細については、UNGCのホームページhttp://www.unglobalcompact.org/、グローバル・コンパクト・ジャパン・ネットワークの詳細についてはGC-JNのホームページhttp://www.ungcjn.org/index.htmlをご覧ください

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